掛け軸
「掛け軸をかざりたいの」
そのクライアントさまは、時々お題のタイトルから、話を切り出す。
いや、掛け軸をかざりたいという言葉が、希望のすべてなら
お題というほどでもない。ところが、私がブログにするくらいだから
それは、やはり、タイトルだった。
大切な“書”があって、それを掛け軸にしたい。
その“書”は、尊敬してやまない、ある方からいただいた“書”だ。
その“書”にふさわしい、掛け軸にしてほしい。
そして、この部屋に、その掛け軸にふさわしい、床の間を造ってほしい。
尊敬するその方も、この部屋にいらっしゃる。
また、その方を尊敬するたくさんの人達も、この部屋にいらっしゃる。
立派にしてほしいのでも、高級にしてほしいのでもない。
床の間として、掛け軸として、
その“書”に、この部屋にいらっしゃる方々へ、礼儀を尽くしたものにしてほしいのだ。
お題はそのような内容だった。
まずは、その“書”を拝見した。
恥ずかしながら、書かれている言葉の意味がわからず、お聞きすると
越後の良寛様の漢詩だと、メールが返ってきた。
参考文献に、中国の柳宗元の詩があるという資料と一緒に。
無知である私に、やってきたお題。
クライアントさまのお題は、いつも私を学びに向かわせる。
本当に、ありがたいこと。
「掛け軸、かけましたよ。」
と、答えるところまでの道のり。
まずは、柳宗元の生い立ちから。